頭が働かない、これほど苦しいことはない。

この東京で私は持ちうる能力を最大限に発揮して、社会的に活躍したい気持ちがあった。

しかし、どう頭をひねっても、いいアイデアが全く思い浮かばないのだ!

直感を鍛えるために、私は瞑想をやり始めた。

また起業セミナーやビジネスセミナーやコーチングセミナーをはしごして、脳の使い方を覚えようとした。

能力開発の機械を購入したこともあった(かなりの出費であった)。



しかしどんなに頭に力を入れても、四六時中考え込んでも、やはりいいアイデアが浮かばない。

どうすれば大きな成功を収められるのか考えると、やはり人が考えつかない盲点となっているアイデアを思いつくことしかないと思っていた。

世の中には必ず盲点があるはずだ。

そこをつくことができたら、莫大な利益を得られると思っていた。



そのうち何にも考えつかないまま時間が過ぎていった。

やる気に燃えていた私の頭も、いつの間にか冷え切っていった。

「いずれ」「そのうちに」と思いながら、社会的成功を夢見ながら、日々ビジネスマンとして変わり映えのない仕事を淡々とこなすようになってしまった。

時々、サイドビジネスをしようとビジネスセミナーや起業セミナーに通い、何にもしないまままた時間が過ぎていった。

自分探しと称して、インド哲学や瞑想や禅の本にもはまっていたことがあった。



だから、頭が働かない苦しさはよくわかっている。

考えまくれば何かヒントが出てくるかもしれないと思うかもしれないが、本当に働かない脳からはいいアイデアなんて出てこない。

出てくるのはどれも二番煎じなものばかりだ。

改めて私はオリジナルを生み出す人間を尊敬するようになった。



人のものをパクって改良することは誰だってできるし、誰でもやっていることだ。

しかし、人が考えつかないアイデアを思いつけることは、思っている以上に難しい。

だから私はその人を本当に尊敬する。



のちに私もニッチだが、とても利益を上げることができた分野を発見することができた。

その時のわたしの脳はとても軽やかで、とても昔知恵を振り絞ってもなんにも出てこなかった頭の重さとは大違いだった。

ここでわたしは学んだ。

なんにも生み出せない脳みそは、いくらそれで頑張っても無駄な努力なんだって。

生み出せる脳は、必ず結果を生み出せる(その途中は苦労はつきものだがなんにも思いつかないより一億倍増しだ)。